銀座一丁目、並木通りに面したHOLON GINZAⅡの五階に創業七十年を超えるボタンの専門店ミタケがあります。
一九四六年、現社長である小堀孝司さんの祖父が神田で羅紗店を開業したことに始まります。ほどなくして銀座に移転し、ボタン店に転業。欧米に行き、工場から直接ボタンを買い付けました。ボタンは普通、手芸店がほかの手芸用品と一緒に売るもの。しかし、ミタケの方向はまったく異なり、国内外の美しいボタンだけを集めた店を目指したのです。たちまちファッションの第一線で活躍する人たちを魅了しました。
店内の壁は上から下までボタンを収めたケースで埋め尽くされ、奥には百年以上前のアンティークのボタンを陳列したガラス棚も。これだけ多種多様なボタンを揃えた店はほかにはないでしょう。
客層は「ボタンを必要とするあらゆる方です」とは「ボタニスト」を自称する小堀さん。アパレル業界の人はもちろん、ボタンでアクセサリーをつくる人、服のボタンをなくして替わりを探す人のほか、最近はグーグルマップを見て来る外国人客も激増しています。
「アパレルメーカーの依頼でボタンをつくることもあります。ファストファッションの服をお持ちになる方もいますが、ボタンを替えるだけで既製服が自分だけのものになります」。迷った時には、ボタンを知り尽くした小堀さんのアドバイスが頼りになります。
ボタンを使ったピアスなどのオリジナル商品も数々開発し、セレクトリサイクルショップ「パスザバトン」が不定期に開催するマーケットなどで販売しています。
今後、やりたいことはチェコにガラスボタンを探しに行くことと、英国のブレザーボタンの老舗「ロンドンバッジ」を訪ね、連携を深めることとか。銀座で唯一のボタン専門店は今後も楽しい展開を見せてくれそうです。 |