創業百五十周年を迎えた銀座十字屋は、七年ぶりに創業の地である銀座通り三丁目に移転しました。ショールーム「ハープセレクション」(十四階)と、音楽教室「ミュージックサロン」(七階)の二つのフロアからなります。
写真は十四階のハープ専門フロア。エレベーターを降りてまず目を引くのは、正面の壁に飾られた力強い“弦”の文字。フランス在住の書家、Maaya Wakasugiが揮毫(きごう)しました。和モダンなテイストの廊下の先に広がるショールームは、天井高が四メートルもあり、ハープの音色がよく響きます。
扱うハープはおもに三種類。高さ約二メートルある「ペダルハープ」は、ピアノとほぼ同じ音域を演奏できます。プロも愛用するアメリカの老舗、ライオン&ヒーリー社、澄んだ音色に定評があるイタリアのサルヴィ社、日本で唯一製造を手がける青山ハープの三社から、屈指の逸品が並びます。
高さ一四〇センチほどの「レバーハープ」は、初心者にも扱いやすいので、音域、重量、価格の異なるものを、バリエーション豊富にそろえています。
二〇二一年にリリースしたのは、銀座十字屋オリジナルの小型ハープ「クリスハープ」です。高さ約六五センチ、重量約三キロと軽量ながら、本格的なサウンドが楽しめます。キャリーバッグと、立って演奏する際のストラップがついて、価格は約五万円。最初の一台としておすすめです。
七階の音楽教室は、緑を取り込んだ明るいラウンジと、九つの防音室を完備。おもにハープ、ライアー、フルート、ハンドベルのレッスンを行っています。ハープは毎日開講しているので、年齢や職業もさまざまな人が通います。
「世界じゅうの人に、典雅なハープという楽器の魅力を発信し続けていきたい」と、倉田恭伸代表取締役社長は語ります。
(撮影:大森ひろすけ) |