昨年七月、六丁目に銀座の新しいランドマークが誕生しました。明治三十四年創業の老舗企業、クロサワによるクロサワビルです。メイン・テナントにティファニーのアジア旗艦店を迎え、淡いブルーの3Dガラスの外装がひときわ目をひきます。
日本初のタイプライター専門店として創業以来、通信事業に携わったクロサワは一九一二年、この地にRC造のビルを建設しました。一九八〇年の建て替えを経て、今回のビルは三代目となります。
この新しいビルに加え、もうひとつクロサワにはぜひ紹介したい新規事業があります。通信とは縁のない製菓事業がそれです。
きっかけは二〇一一年の東日本大震災でした。クロサワは福島県伊達市に通信機器の工場を持ち、親密な関係にありました。伊達市はモモをはじめ、イチゴ、ブドウ、リンゴ、カキなどが採れる果物の王国。しかし、震災の被害に加え、原発事故による風評被害を受け、収穫した果物は買い手がなく、廃棄処分になっていました。
惨状を知り、クロサワは手を差し伸べました。まずは学校の教育環境を整えるさまざまな支援をし、高校を卒業する学生を正規採用。さらに、新たにパティシエを迎え、二〇一七年に伊達の果物などを使った菓子の製造を始めたのです。
現在、販売されているのは二種類のサブレ缶です。伊達市の郵便番号を冠した「#960」は福島産の食材を使用。イチゴの風味が広がるピンクのサブレが特に人気です。銀座の郵便番号の「#104」は「銀座はちみつ」を使ったフロランタンやミモレットのサブレなど、個性が豊か。どちらも好評でリピーターが目立っています。
販売はネットのほか、福島県のアンテナショップなどで。銀座 伊東屋本店の一階でも二種類のサブレを販売しています。催事の出店もあり、詳細はクロサワのホームページをご覧ください。 |