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芸術がもたらす喜び
―人生の中心に趣味を―
大村 智(北里大学特別栄誉教授、ノーベル生理学・医学賞受賞)
森 孝一(美術評論家)
頭を冷やす街
森 ノーベル生理学・医学賞受賞者である大村先生が美術に親しむようになった原点は、やはり子どものころにあるのでしょうか。
大村 はい。今の自分の姿を見ると、祖母と母、二人の合作だと思うことがあるのですよ。祖母は心構え、生き方というものを教えてくれた。母はといえば、「情緒というのは大事だ」ということを子どものころから言っていました。わたしは「情緒」と言われても、意味もよくわからなかったんだけどね。「絵を描きなさい、お習字をしなさい。そうすると情緒が養われる」と聞かされて育ちました。おそらく母は、わたしを勉強ばかりの人間ではなく、感性の豊かな人間に育てようとしたんじゃないかと思います。
森 絵を描くためのクレヨンやスケッチブックも買ってくださったとか。
大村 そうなんです。絵画を飾ってくれたり、絵画を見たりする習慣をわたしにつけてくれました。そこからわたしも美術に興味を持つようになりました。 |