交詢社通り七丁目、ギャルリーためながの大きなウィンドウに飾られた鮮やかな絵画に、通りをゆく人も足をとめます。
一九六九年に西洋絵画を扱う画廊として銀座で創業し、その二年後にパリ店と大阪店を開廊。当時の日本では無名だった印象派以降の作家たちに注目し、ベルナール・ビュッフェ(写真右)、アンドレ・ボーシャン、ピエール・ボナールら、近代絵画の名匠たちの作品をいち早く紹介してきました。
いっぽうで、現代の作家を育て、紹介することも画廊の使命とし、積極的に展開してきました。のちにフランス画壇を代表する存在となったポール・アイズピリ(写真左)、アンドレ・コタボ、ポール・ギアマンなどを世に送り出してきたのも、ギャルリーためながです。
昨年には、創業から半世紀を迎えたパリ店の開廊日と同じ日、新たに京都にも開廊しました。町家を改装した空間は天井が高く、開放的。智内兄助(きょうすけ)や菅原健彦をはじめ、日本を代表する作家の作品を多数取り揃(そろ)えています。
「黒子として、若手作家が活躍する場を演出し、一人でも多くのすばらしい才能を世に送り出すことができれば画商冥利(みょうり)に尽きます」とは、代表取締役社長の爲永清嗣さん。創業者の父・清司さんの傍(そば)で幼いころから本物に触れ、培われた確かな審美眼に、多くの美術愛好家が信頼を寄せています。
気に入った作品は購入し、所有する喜びも味わえるのが画廊ならでは。
「食べものに好みがあるように、絵に対する感じ方も人それぞれ。自分の感性で、好きだと思う作品に巡り合うために、ぜひ気軽に画廊を訪れ、多くの絵画を観てください。味覚と同じように視覚も、研ぎ澄まして楽しんでいただきたい」
五月二十八日から六月十九日までは、優美な女性像で人気を誇る作家、ジャン=ピエール・カシニョールの個展を開催します。最新作を中心に、今展のために作家みずから選んだ作品が一堂に会します。
また、秋に開催するフランス在住の中国人作家、チェン・ジャン・ホンの個展も必見です。墨と油彩を自在に操る独創的な技法を確立した作家で、フランス国内のみならず、ヨーロッパやアジア各国で注目を集めています。
好きな絵のある空間で過ごす時間は格別なもの。人生を豊かにする一枚に出合える、ギャルリーためながです。
(撮影:大森ひろすけ) |